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著:三角みづ紀 装画:塩川いづみ 版元:ナナロク社 P120 文庫判変形上製 2020年8月刊 装丁:鈴木千佳子 詩33編+口絵2点+あとがき
三角みづ紀の第8詩集は、詩人の記憶を重ねた13歳を描く33篇の書き下ろし。変わっていく心と身体をもてあまし、誰かと一緒にいても疎外感を感じ、家族との距離もよくわからなくなる、そんな誰もが通ってきた場所に、彼女は帰ることができる。それとも、その場所を内包して今の彼女があるのだろうか。読んでいたら「切実」という言葉が浮かんできた。大人になるにつれ、手放したり、しまい込んだりしたそれがこの詩集の中には確かにあって、手放すことも、しまい込むこともできなかった彼女がちょっとうらやましくもある。タイトルは細い金の箔、小口と天地は赤いインクで塗られ、贈り物を包むようにグラシン紙がカバーの代わりに巻かれています。文庫より少し大きいくらいのひそやかな本。持ち歩きたくなるような本です。