


著・本文写真:岸本佐知子 版元:新潮社 P224 文庫判 2025年1月刊
「死ぬまでに行きたい海」がいったいどこだったのか、いまだに気になっている。ーあとがきより
猫の行方、不遇な駅、魅かれる山、夏の終わり—— 。「超がつくほどの、鬼がつくほどの出不精だ」という著者が、どこかに出かけていき、見たまま聞いたままを書いたという、文芸誌『MONKEY』連載のエッセイ。他人の記憶を読んでいるのだけれど、気付けば読む側も自分の記憶へと旅をしている。失われた場所の話はさみしいけれど、語られることでよみがえりもする。見知った場所が新鮮に映る人も、見知らぬ場所なのに懐かしく感じる人もいるのではないだろうか。