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ヘヴィ あるアメリカ人の回想録

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著:キエセ・レイモン 訳:山田 文 版元:里山社 P336 四六判並製 2021年6月刊 装丁:川名潤 「ぼくは嘘を書きたかった」と、著者キエセ・レイモンは何度も書く。母から受ける暴力、貧困、依存症、友人間の性暴力……。それらを書かずに「黒人」が虐げられてきた社会を描くことは可能だから。それでもキエセはひたすら個人的なことを書く。ある黒人男性の回想録を書くことは、社会の普遍的問題を描きだすことでもあるからだ。著者の母は政治学者で、女手ひとつで彼を育てている。キャリアがあっても、「黒人」で「女性」であることに変わりはない。その重圧が息子への態度を歪ませる。「黒人」であることでさらされる脅威から息子を守るために、母は息子を鞭打つ。迫害や差別は、黒人に対してだけ起きるわけではない。年上から年下に、男性から女性に、有色人種から別の有色人種に、性的マジョリティから性的マイノリティに。差別の構図は複雑に絡み合う。だから、キエセは自分が誰かを傷つけることにもおびえている。「ヘヴィ」とは、彼の人生であり、体重でもある。不安が体重を増やし、さらには体重を減らすことに依存するようになる。母からは暴力だけでなく「読み、再読して、書き、推敲する」という贈り物も受けた。キエセは、「書いて、推敲する」ことで思考し、気付き、生き延びる。「暴力と愛」「正しさと過ち」「嘘と真実」、それらは相反しながら、同時に存在することができるのだと、彼の思考をなぞりながら考えた。

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