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文:安田 浩一 文・絵: 金井 真紀 版元:亜紀書房 P376 四六判並製 2021年9月刊 題字・装丁:鈴木千佳子 DTP:山口良二
タイ、沖縄、韓国、寒川(神奈川)、大久野島(広島)――
あの戦争で「加害」と「被害」の交差点となった温泉や銭湯を各地に訪ねた二人旅。
ジャングルのせせらぎ露天風呂にお寺の寸胴風呂、沖縄最後の銭湯にチムジルバンや無人島の大浴場……。ノンフィクションライターの安田さんと文筆家でイラストレーターの金井さんが温泉や銭湯を訪ね、湯に浸かりながら、市井の人々の言葉を拾い集める。ほのぼのとしたイラストに思わず手がのびる本だが、湯けむりの中で語られる言葉は「戦争」と関係があるものばかり。被害の記憶と加害の記憶。しかし、温泉効果なのか、彼らが語る現実がいくら過酷であっても、耳をふさごうという気にはまったくならず、どんどん読み進められるから不思議だ。裸の付き合いだったからこそ語られた貴重な言葉もあるに違いない。
■タイ…………ジャングル風呂と旧泰緬鉄道
■沖縄…………日本最南端の「ユーフルヤ―」
■韓国…………沐浴湯とアカスリ、ふたつの国を生きた人
■寒川…………引揚者たちの銭湯と秘密の工場
■大久野島……「うさぎの島」の毒ガス兵器