著:米本浩二 版元:河出書房新社 P232 四六判上製 2022年8月刊 ブックデザイン:鈴木成一デザイン室 カバー写真:森田具海「浜(右に獅子島)」
「今日ただいまから、
私たちは、国家権力に対して、
立ちむかうことになったのでございます――」
公害闘争として知られる水俣病闘争はどのようにして生まれ、全国的な闘争に展開していったのか? 強大な権力を相手に弱者が闘った記録。権力側はもちろん新日本窒素肥料株式会社(後のチッソ)だが、その背後には県や国が控えていた。弱者は患者とその家族。「運動方針の最優先事項は患者の意思である」とし、徹底して裏方に回った渡辺京二と石牟礼道子のコミットを明らかにしつつ、水俣病闘争が問いかける「精神」をも描き出す。今から「水俣病」について知りたいと思っている人にもおすすめの1冊です。
(目次)
はじめに
第1章 寒村から
塩と木材/日本窒素肥料/アセトアルデヒド/新興コンツェルン
第2章 闘争前夜
異変/公式確認/細川一/排水口変更/有機水銀説/爆弾説とアミン説/産業性善説/漁民暴動/猫四〇〇号/サイクレーター/患者家庭互助会/見舞金契約/「水俣病は終わった」/胎児性患者/安賃闘争/新潟水俣病/公害認定
第3章 闘争の季節(とき)がきた
水俣病市民会議/確約書/石牟礼道子/渡辺京二/血債を取り立てる/水俣病を告発する会/熊本地裁に提訴/水俣病研究会/第一回口頭弁論/補償処理委/厚生省占拠/巡礼団
第4章 困難、また困難
臨床尋問/一株運動/チッソ株主総会/ほんとうの課題/敵性証人/カリガリ/自主交渉/チッソ東京本社/年越し交渉/五井事件/鉄格子
第5章 大詰めの攻防
公調委/判決前夜/判決/東京交渉団/補償協定
第6章 個々の闘い果てしなく
水俣病センター/チッソ県債/杉本栄子/石牟礼道子の涙/原田正純/無要求の闘い/差別糾弾闘争/緒方正人
おわりに
主要参考文献
「水俣病闘争」関連年表