



著:山下多恵子 版元:未知谷 P256 四六判上製 2024年8月刊
本著はハンセン病文学の講座の一部をまとめたもの。講座の趣旨は、らい予防法下のハンセン病療養所で、過酷な現実に堪えながら言葉を紡いだ人たちの生きた姿と残した言葉をたどりながら、ハンセン病の意味を探り、同時に「ひとはなぜ歌い、なぜ書くのか」という文学の原点について考えること。ハンセン病は感染性の低い病気なのに隔離され、人権を無視した予防法が差別を助長した。言葉を紡ぐことで救われた人もいれば、武器として言葉を放った人もいる。たとえば、国賠訴訟で闘った中山秋夫さんの川柳、「もういいかい 骨になっても まあだだよ」。療養所内の納骨堂に並ぶ骨壺から聞こえてくる声だ。骨になっても故郷に帰れず、私たちに問いかけてくる声を聞いてほしいです。