著:水上文 版元:柏書房 P216 四六判並製 2025年5月刊 装丁:山本祐衣 装画:Justine Wong
日本の同性カップルが「難民認定」された国で、わたしが手にしたたくさんの問い、そして言葉。――帯より
著者はクィア・フェミニズムの視点で批評をおこなう文筆家。本著では、「シスジェンダーの異性愛者を『標準』とする社会で、異物とみなされうるあらゆる人を包括する言葉」として「クィア」を用いている。かつては蔑称だった「クィア」という言葉は、性的マイノリティの権利運動の中で当事者が自ら名乗ることにより、ポジティブな意味に転じた。本著は、パートナーの暮らしているカナダへの二度の滞在をもとに記されたエッセイ。「LGBTQ先進国」と言われているカナダでは、20年前から同性婚が認められ、性的指向や性自認、ジェンダー表現に対する差別の禁止がすでに法制化されている。そこで著者が目にする光景から浮かび上がるのは、日本におけるクィアの生きづらさと不可視性。「ここにも、そこにも、どこにでも」という、著者が参加したプライド・パレードのテーマが示すように、彼らは確かに存在しているというのに。