著:斎藤真理子 版元:イースト・プレス P280 四六判並製 2025年11月刊 カバー作品:甲村有未菜 ブックデザイン:鈴木成一デザイン室
日本、韓国、沖縄、どこへ行っても本は木(なむ)で出来ていたー帯より
韓国文学をよく読まれる方なら、たいていの人は翻訳家である著者の名前を知っているだろうが、詩人でもあることはあまり知られていないかもしれない。著者が韓国に留学する際、ほとんどの本を古本屋に売ったときのことを書いた詩にこんな一節がある。
さよなら 私の本たち。それはたいそう重かった。 「本って本当に重いですよね」私が言うと おじいさんが答えた。 「さようでございます もともと木でございますからね」。
1993年に韓国で刊行された著者の詩集は、2018年に復刊もされているそうだが、 「韓国でだけ詩人であるという状況を楽しんでいる」という。本書は、著者が過ごしてきた土地で感じたことや、言葉について思うことが綴られたエッセー集。韓国語で木のことを「なむ」という。韓国のプラタナス、筑豊のむくげ、沖縄のがじゅまる、それぞれの土地で出会った「なむ」たちに思いを寄せ、その来歴に刻まれた土地の痛みと向き合う言葉が綴られている。本もまたもとは「木」。1冊の本が違う言葉に訳されるということは、まるで枝葉が増え、根がさらにのびていくようなものだと思った。