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海をあげる

1,760円

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著:上間陽子 版元:筑摩書房 P256 四六判並製 2020年10月刊 装画・挿画:椎木彩子  ブックデザイン:鈴木成一デザイン室 沖縄の夜の街の少女たちの声を聞きとった『裸足で逃げる』から3年、自らの声を聞きとる、著者初めてのエッセイ集。美しい沖縄の生活のかたわらには、暴力がある。その暴力のかたわらで著者は幼い娘を育てる。その理不尽さが、読む私たちにそれでよいのかと問いかけてくる。辺野古には土砂が投入され、水は汚染され、爆音をたてて飛ぶアメリカ軍の外来機に幼子は怯える。聞こえてくるのは著者自身の声ばかりではない。著者が支援を続ける、搾取され暴力を受けた女たちの声もそこに重なる。しかし、その文章はたけだけしくはない。静かでひたすら誠実だ。だが、そこには確実に痛みと怒りがあるだろう。しかし、ときおり顔を出す幼子の視線には、光が満ちている。絶望の闇がその光を覆いつくすことがないようにするにはどうしたらよいのか、と問いかけられている。

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