


著:森崎和江 版元:岩波書店 P330 文庫判 2021年10月刊 挿画:山本作兵衛 解説:水溜真由美
初版1961年、森崎和江のデビュー作。日本有数の炭鉱地帯である筑豊に暮らしていた著者が、かつて坑内労働を担った女性たちから聞き取りをし、話し手の一人称の形でまとめた作品。彼女たちは搾取される労働者であったが、同時に誇り高い労働者でもあった。その逞しく力強い言葉に何度も鼓舞される。「あそこは男が一円ならおなごも一円ですばい。おなじ仕事をしますとじゃけ。そして、ほんなことおなごのほうがよう仕事します。函押しですか、あんた、おなごはケツの力が強いですけ。(本文より)」
(目次)
はじめに
無音の洞
流浪する母系
棄郷
灯をもつ亡霊
のしかかる娘たち
セナの神さま
ヤマばばあ
赤不浄
共有
地表へ追われる
坑底の乳
あとがき
[付録] 聞き書きの記憶の中を流れるもの
解説……………水溜真由美
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