著:吉野せい 版元:中央公論新社 P240 文庫判 2012年11月刊
カバー:空想製本屋 序文:串田孫一
詩人である夫とともに阿武隈山麓の開墾者として生きた女性の年代記。著者は、結婚前は雑誌や新聞に作品を投稿していたが、結婚後、筆を持つ暇などない厳しい生活を送ることになる。夫の死後、交流のあった詩人・草野心平に「あんたは書かねばならない」と言われ、ふたたび筆をとったという。厳しい自然、弱くも逞しくもある人々のすがた、夫との愛憎……。とりつくろわない、生木のようなことばで綴られている。この本との出会いは古本屋だった。百円で投げ売りされていたのを見つけた。串田孫一の装丁に目を惹かれて手に取ると、以前、友人に勧められた本だと気付き購入した。読み始めたら途端に夢中になり、この本が絶版だとはもったいないことだと思っていたら、数年後、復刊された。ぜひ、読んで欲しい本です。