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著:池澤夏樹 版元:河出書房新社 P196 四六変型判上製 2021年2月刊 写真:齋藤陽道 装丁:佐々木暁
「石牟礼道子は存在自体が一つの文学的な奇蹟である」
されく(漂浪く)とは、水俣の言葉で「さまよう」の意、ほっつき歩くということだ。されく魂をもつ石牟礼さんの類い希な作品群を、同じくされく魂を持つ作家、池澤さんが論じる。敬愛してやまない作家に真摯に対峙した渾身の論考集大成。池澤さんは「論を書こうと構えると石牟礼道子はすぐにその枠を超えてしまう。水ならば溢水ないし氾濫であり、人ならば『されき』である」と言う。読みすすめると、新たな気付きにいくども出会う。そして、石牟礼文学を再読したくなっている。この本を読んだ後、無性に『苦海浄土』が読みたくなりました。