著：尹 雄大　版元：大和書房　P264　四六判並製　2023年5月刊　ブックデザイン：西垂水敦・市川さつき(krran）　カバー・本文写真：尾鷲陽介 論理的に話すことが、「上手な話し方」ではない。 共感することが、「ちゃんと聞いている」ことではない。 テクニックより大切なこととは――（帯より） 著者はライターであり、インタビュアーでもある尹雄大。これまでの取材で出会ってきた人たちとの対話や、その経験から知ったことを踏まえ、聞くこと・話すことについて考える。尹さんは「その人の話をその人の話として聞く」ことを大事にしている。そこで必要なのは技術の向上ではない。「本当に話せない」という切迫した思いが、コミュニケーションにおいて推奨されている通りの共感や肯定を示すことで太刀打ちできるはずもない、と尹さんは語る。琉球大学教育学研究科教授の上間陽子さんが「本当にのたうち回るような経験というのをした人は自分の体験を表す言葉を持たない」と言う。私たちは言葉を信頼しすぎてはいやしないだろうか、と本著を読みながら考えた。