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著:金川晋吾 版元:晶文社 P266 四六判上製 2023年4月刊 装丁:佐藤亜沙美(サトウサンカイ)
写真家である著者は、失踪を続け、仕事も辞め、自己破産に至った父を被写体に『father』という写真集をつくったが、自分で言い出したこととはいえ、父が「失踪する父」として語られるのをたびたび見聞きするようになると、居心地の悪さを感じるようになる。なぜ父は失踪を繰り返したのか。なぜ自分は父の写真を撮るのか。なぜ父は撮られることを拒まないのか。著者は目の前にいる「失踪していない父」の姿を見つめ、「わからなさ」をひたすら綴っていく。「私は写真にはその人のありようが写ると思っている」と著者は語る。「ありよう」とは、「その人自身に意識されていないものも含めて外側にあらわれているもののこと」だとも。誰かの「ありよう」を見つめ、その人を想うとき、否応なく見えてくるのは自身の姿ではないだろうか。