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写真と文:奥山淳志 版元:みすず書房 P320 四六判 タテ188mm×ヨコ130mm 2021年8月刊
犬、鳩、ハムスター、インコ……幼い頃からたくさんの動物たちと暮らしてきた著者は、動物をもとめてやまないのはなぜだろうかと自身に問いかける。生命とはどういうものだろうかという問いとともに。動物たちと別れるときの著者の眼は、ひとつも見逃すまいとしているかのようだ。逝ってしまったあとは、穴を掘り、亡骸を横たえ、土をかける。私にも身に覚えのある行為。幼い頃は文鳥と、大人になってからは猫と暮らしている。だから、動物たちとの記憶を辿ることは否が応にも生と死を考えることにつながると、体感としてわかる。17年間、一緒に暮らした犬・さくらが逝った後も早く土に還してやりたいと願い、埋葬する。著者が土をかけ終えたときの感覚を胸のうちで見つめ気付くのは、地中でつながる地下茎にも似た過去と過去を結びつけようとする記憶を見つけていること。その地下茎には私が埋めた文鳥や猫たちの記憶も連なっていく。