


著:ハン・ガン 訳:斉藤真理子 版元:河出書房新社 P200 文庫判 2023年2月刊
かつて戦争でほとんどすべてを破壊され、雪景色のように「白い」都市となったワルシャワで、著者は白いものについての物語を書き始める。おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり……。「白いもの」の目録を書きとめ紡がれた65の物語は、そのほとんどが短い断章で語られる。それは詩と言ってもいいのかもしれない。白を語ることで、彼女は死を生とへだてることなく、再生へと導いてゆく。ワルシャワと朝鮮半島の記憶が交差する、祈りそのもののような物語です。