ノーザン・ライツ
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ノーザン・ライツ

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著:ハワード・ノーマン 訳:川野太郎 版元:みすず書房 P336 四六判上製 2020年10月刊 装画:トム・トムソン 語り手であるノアは14歳の少年。カナダ、マニトバ州北部の一軒だけの村に、母親と従妹と暮らしている。ある日、家にはほとんど帰らない地図製作者の父親が、短波ラジオを持ち帰る。ノアが最初に聞いたのは、 「九十数マイル北東の村クイル」に住む親友ペリーが、割れた氷から一輪車ごと湖に落ちて死んだ、という報せだった……。音の描写が魅力的だ。彼らは、動物とはまず聞こえるものだ、と言う。想像力をかきたてるのは自然の奏でる音ばかりではない。たとえば遠くから運ばれてくるラジオの声。ノアは真空管を眺め、「オレンジに灯った銅線の優美な支流を通って人々がやってくるのを想像することができた。」もうひとつ、遠くの人々の存在を運んでくるのは郵便機。パイロットたちは、そっと見守るように出会いや別れに立ち会う。登場人物たちが不在を受け入れていくにつれ、失われた者たちの輪郭は浮かび上がってくる。不在を存在へと転化し、慈しむような物語だ。「ノーザン・ライツ」とは英語で「オーロラ」のことだが、小説の中では後半の舞台であるトロントの映画館の名前だ。ノアの体験を通じて、私たちの心のなかに満ちてくる光の象徴でもあるのかもしれない。