


著:イーユン・リー 訳:篠森ゆりこ 版元:河出書房新社 P296 四六変形判並製 装丁:名久井直子 装画:三宅瑠人 2024年7月刊
アメリカに住む語り手アニエスのもとに、かつての親友ファビエンヌの死を知らせる手紙が届く。二人はフランスの片田舎で育ち、一心同体のように少女時代を過ごした。あるとき二人は、文学好きの郵便局長の手を借りて本を書くというゲームをはじめ、本が出版されると、「ぞっとするようなことに惹かれる精神で戦後の暮らしを記録する、若い野蛮な作家」と注目を集める。その結果、アニエスは大人の社会に突然放り込まれ、二人は離れ離れになってしまう……。大人に理解されることも、自分の人生を奪われることも拒否した彼女たちの、鋭く、ときに残酷な姿は忘れがたい。